労務通信2018年2月号

社会保険の実務サポート 個人型年金で事業主が行う事務手続き

個人型確定拠出年金とは

 個人型確定拠出年金(IDeCo)とは、公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金の一つで、加入者の老後の所得確保の手助けとなる制度です。企業型確定拠出年金とは異なり掛金の全額を加入者個人で負担します。従来は自営業者や、企業などに属していて企業年金などに加入していない人がiDeCoに加入できましたが、昨年1月からは、企業年金などに加入している人や専業主婦なども新しく加入できるようになりました。

事業主が行う主な事務手続き

 iDeCoは個人型年金ですが、厚生年金保険の適用事業所の事業主は、雇用する従業員のなかで初めてiDeCoに加入した人が出た場合、国民年金基金連合会に事業所登録をする必要があります。

 これは、60歳未満の厚生年金保険の加入者(国民年金の第2号被保険者)については、法令により、加入の資格要件に関する事業主の証明が必要とされていて、加入者の勤務先事業所の情報を、運営者である国民年金基金連合会に登録しなければならないことになっているためです。

 また、その後も従業員がiDeCoに加入する場合には、その都度、従業員から証明を求められますので、渡された書類に厚生年金保険の加入者であるなどの事項を証明することになっています。

さらに、毎年1回(6月ごろ)、加入者の資格要件に関する確認があり、同連合会から証明を要する書面が届きますので、事業主は書面に沿って加入者である従業員の企業年金などの 加入資格や退職の有無を証明した上で、連合会に返送します。

掛金の払い込みに関する事務

 iDeCoの毎月の掛金は、厚生年金保険に加入している人の場合、「事業主払込」または「個人払込」のいずれかの方法により連合会に納付することになっています。原則は「事業主払込」で、具体的には、事業主が加入者の給与から掛金の天引きを行った上で、事業所の口座から、口座振替により掛金の納付を行います。

 しかし、事務手続きが困難などといった理由があれば、天引きではなく、本人の口座からの振替による「個人払込」もできることになっています。

 また、iDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金として全額が所得控除の対象となりますので、「事業主払込」を選択している場合、加入者の給与から掛金の天引きを行うときは、給与から掛金額を控除した上で、所得税の源泉徴収税額を算出する必要があります。

  「個人払込」を選択している場合には、所得税の年末調整の際には、加入者から保険料控除の申告と「小規模企業共済等掛金払込証明書」の提出があれば、掛金額を含めた調整により、年税額の計算をすることになります。

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