労務通信2018年12月号

来春から「働き方改革関連法」が順次施行されます

 一時期、過労死自殺とか過労によるうつ病などの記事がマスコミに踊っていましたが、国もこのような状態を重視し、今回の働き方改革をおこなうことになりました。働き方改革には様々な制度が盛り込まれていますが、中小企業に特に影響してくるのが、「残業時間の上限規制」と「有給休暇の時期指定義務」です。これらの改正は平成31年4月1日以降、項目ごとに順次適用されますが、今回の回報では、そのあたりの具体的内容をお話しすることにします。

ポイント1 時間外労働の上限規制が導入されます!

【現行】法律上は、時間外労働に上限なし

【改正】法律で時間外労働に上限を定め、これを超える時間外労働は出来なくなります
具体的には、原則として残業時間(時間外労働)の上限が月45時間、年360時間に規定されます。これを超える残業は認められないこととなります。
ただし、繁忙期がある業種などでは、特別条項による労使協定を結ぶことによって、①年間6ヶ月まで、②年720時間、③単月100時間未満まで(複数月平均80時間(休日労働を含む)未満まで)を限度とし、時間外労働をさせることができます。これに違反した場合には罰則があります。中小企業では2020年4月より適用されますので、効率的な働き方などを模索し、上限規制にあてはまるようにしなければなりません。

ポイント2 年次有給休暇の確実な取得が必要です!

【現行】年次有給休暇の義務付けなし

【改正】年次有給休暇が年10日以上付与される労働者に対して、付与された日から1年以内に、最低5日間の有給休暇を取得させることが義務化されました
具体的には、年次有給休暇が年10日以上付与される労働者(入社後6ヶ月間勤務し、8割以上出勤した者)に対しては、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、使用者が時季を指定して与えなければなりません。ただし、労働者自らが5日の有給休暇を取得した場合には、使用者は時期指定による休日を与える必要はありません。たとえば、労働者が申し出て自ら3日取得した場合、残りの2日に ついて、時期を指定して有給休暇を与える必要があります。
戦後、日本が成長してきた基因は日本人の勤勉さにあります。単なる労働時間の削減や休日の増加と捉えることなく、労働の効率化などの手法を見いだし、法律に対応していくしかないのかなと思います。

0265-84-1060

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