労務通信2023年3月号

休職時の社会保険料について

今回は社員がケガや病気で休職した際の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)についてです。

 休職期間は、労働基準法上絶対に設けなければならないというものではありませんが、休職期間を設けていなければ、社員がケガや病気などになった場合、即時解雇が必要となることも想定されます。

  すなわち、休職期間とは、そういった事態を避ける解雇回避措置の側面も持っているため、設ける場合は休職期間をどれくらいにするか、休職を適用する条件とは何かなどを慎重に決めて就業規則に規定しておく必要があります。

 最近では、精神疾患を発症して長期休職するケースが非常に多くなっていますので、規定を確認し、必要に応じて見直しをご検討ください。

 休職期間中は、ノーワーク・ノーペイの原則によって給与の支払いは原則として必要ありません。しかし、休職期間中でも社会保険料は免除されませんので、従業員負担分・事業主負担分ともに社会保険料を納めなければなりません(※産前産後休業や育児休業の場合のみ社会保険料が免除される仕組みがあります)。

 休職期間中でも社会保険料が免除されることはありませんので、保険者(その保険制度を管理・運営している組織)に納める必要があります。したがって、休職している あるいは していた社員から自己負担分を徴収する必要があります。

 休職期間中でも給与を支給する会社であれば、支給する都度社会保険料を控除すれば済みますが、そのような会社は限られています。一般的には休職期間中の給与の支給はないため、具体的には次の方法から選択して休職している あるいは していた社員から社会保険料を徴収することとなります。

  1. 休職中の社員が傷病手当金の支給対象であれば、傷病手当金を会社がいったん受領し、社会保険料を控除して社員に支払う。(※1)
  2. 会社が立て替えて支払い、復職後に徴収する。(※2)
  3. 毎月休職している従業員に社会保険料に関する請求書を送付し、期限を定めて支払ってもらう。
  4. 復職後の賞与で相殺する。(※3)
  5. 退職金の支給対象であれば、退職金で相殺する。

※1 傷病手当金の受取代理を会社が行う場合は、社員の同意が必要です。協会けんぽ では傷病手当金支給申請書の受取代理人の欄が削除されています。保険者によって取 り扱いが異なる可能性がありますので、事前に保険者に確認しておくといいでしょう。 また、社会保険料控除後は明細を発行しましょう。

※2 ※3 復職できないケースもあり、万が一社員が退職した場合は徴収が難しくなる ことからこの方法をとる場合は注意してください。

 会社としては、上表の (3) の方法をとるのが穏当といえます。このように休職している社員からの社会保険料の徴収はそれ自体労力がかかる煩わしい業務となることが予想されます。

 また、金銭の問題であることからもトラブルとなる可能性を含んでいますので、休職期間中の社会保険料の取扱いについても就業規則に規定しておき、休職に入る社員には丁寧に説明して同意を得ておくと良いでしょう。

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